2008年3月1日土曜日

犬の医療制度について 

ご存知のとおり、僧帽弁閉鎖不全症は、犬の心臓病では最も多い病気といわれています。特に、キャバリア、マルチーズ、チワワ、プードル、ダックスフント、ミニチュア、シュナウザー等の小型犬が発症率が多いそうです。一般的には、老年期に後天的に発生し、年齢とともに増加していくということで、16歳になると75%がこの病気を持つと言われています。

しかし、これだけ発生率が多い病気にもかかわらず、実際に、その診断をするために必要なカラーエコーを持っている町の獣医さんは、とても少ないと思います。設備投資に相当お金がかかるのだと思いますが、もう少し簡単にカラーエコーが受けれるようになることは重要なことだと思っています。

なぜならば、そのカラーエコーがないと、本質的な僧帽弁閉鎖不全症の進行状況(血液が左心室から左心房へ逆流している状況や量)を把握することは難しく、そのことがわからないと、薬の種類や投与量などが判断しにくいはずだからです。

しかし残念なことに、多くの獣医さんをみていると、また飼い主の方のブログなどを読んでいても、そのほとんどは、カラーエコーをせずして診断されているケースが多くあるように思います。また、仮にご自分の病院でエコーがない場合でも、大学病院などで診てもらったほうがよいということを、真摯にすすめていただける獣医さんが少ない現状にも、個人的にはとても不満を持っています。

獣医さんの立場にたつと、カラーエコー1台の投資や専門医の導入も、経営を圧迫する大変なことなのかもしれません。ある意味、これだけペット人口が多い日本であれば、国の制度的なことの導入もしていく必要があるかもしれません。たぶん、犬の保険ぐらいでは、この状況は変えきれないと感じています。

ただ「これだけ人間社会で高度医療がすすんでいる世の中で、なぜ動物医療はまだまだなのか?」という問いに対し、「そもそも人間社会と動物社会を同じに捉えていること自体が理解できない」という方も多くいると思いますし、私の周囲ですら、なぜ、こんなに私たちが一生懸命、一匹の犬の生命を救おうとしているのかすら、理解しがたいと思ってた人が多くいたと思います。ただ、私自身は、犬が自分たちの家族である、と思っている多くの愛犬家、また他の動物を愛している方も含め、今のこの獣医さんの現状を少しでも改善していただけないかという思いは切なる気持ちです。

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