2008年4月20日日曜日

決断

山根先生にお会いした瞬間から、わたしの中では、もう気持ちは固まっていました。

今ならばまだ、そこまで進行していないので、手術の成功の可能性が高い、でももし時間を経て進行してからでは、リスクが高まるということなので、もしやるのらば今すぐやるべきと思いました。そして、成功すれば、心臓の事を心配することなく、また昔のように思いっきり公園で走り回れるのです!

私にとって、こいぬが僧帽弁閉鎖不全症になって何よりも辛かったのは、それをさせてあげられないことでした。もし、内科的治療で進行を遅らせたとしても、毎日少しでも心臓に負担がないよう、激しい運動をさせないよう、本人にも我慢を強いた生活を送らせなければならない。そうやって、寿命が延びたとしても、それで本当に幸せな一生だと言えるのか?私はそのことを悩んでいました。

それから、もう一つ、山根先生に任せたいと思った理由があります。それは、先生が以前、『動物のいたみ研究会』という会も主宰されていたことです。犬や猫の手術の際、獣医師によっては、「必要ない」「副作用が心配」などの理由で鎮痛剤を使わないことがあるそうです。先生は、「痛いと訴えることができない、動物の痛みを、獣医師も飼い主も、もっと理解する必要がある」といっておられます。

先生は、単なる延命治療を施しても意味がない、本当に重要なのは、本人が苦しまず、楽に生きていけることだと強調されておられました。このことこそ、私がこいぬに一番してあげたいことでした。たとえその為に、こいぬの寿命が短くなっても、辛いのは自分達であって、本人にとってはその方が幸せなはずです。

この病気が発覚するまでは、こいぬとの最期のお別れのイメージは、自分のひざの上で安らかに眠るように息を引き取っていくというものでした。しかし、この病気になって、それは叶わぬ夢のように思われました。もし、こいぬがもっとおっとりした性格で、運動量も多くない犬だったとしたら、内科的治療でもそれ程進行せずに、安らかな老後を送れたかもしれません。でもこいぬの場合、薬で進行を抑えたとしても、結局は苦しみながら末期を迎えるという可能性が高いように思われました。もしそうであれば、最悪、手術がうまくいかなかったとしても、先生にお任せすれば、少なくとも痛みや苦しみからは逃れられると信じることができました。


しかし、妻は手術すべきかどうか、気持ちの整理が全くつかないようでした。

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